南部鉄器

経済産業大臣指定伝統的工芸品 「南部鉄器」

南部鋳鉄工芸は、奥州平泉に華やかな文化を残した藤原氏の全盛時に創製されたと伝えられる九百余年の永い伝統ある工芸品です。独特の砂鉄処理技術や雅趣に富む造形力等、その名声は広く海外にも及んでおります。

近代に於いてさらに秀でた造型と巧みな技法により素朴さの中に新しい感覚を取り入れ日用実用品として、また、室内装飾品として愛好されております。

鉄分と健康

鉄分は、血液を造る大切な栄養素です。私たち日本人は食物に元来含まれる鉄分だけでなく、鉄瓶鉄鍋の鉄分を湯や調理した食物を介して補ってきました。その鉄分(二価鉄)は食物に含まれる鉄分より体に吸収されやすいものです。

近年様々な素材の調理具が使われ鉄分が不足しています。鉄分が不足すると疲れやすくなり、貧血等様々な症状が現れてきます。

鉄瓶や湯釜でお湯を沸かすと、水の中のカルキ分灯の物質が除かれるために、さめにくく、おいしくなります。

南部鉄瓶を末永くご愛用頂き、健康づくりに役立ていただければと思います。


【南部鉄瓶の使用方法】

新品の鉄瓶をお使い頂く場合

1、初めに、鉄瓶に八分目位まで水を入れ火にかけて下さい。ガスコンロの場合、弱火か中火にして下さい。

2、沸騰したら吹きこぼれないように注意し、10~15分火にかけた後、お湯を捨てて下さい。

  (やけどに注意。鉄瓶のツル・蓋もかなり熱くなります)

3、再び鉄瓶に水を入れ、上記行程を3~4度繰り返した後に使用下さい。


鉄瓶を毎日使う

1、鉄瓶に水を入れ火にかける。(水の入れすぎに注意。入れすぎると吹きこぼれる場合があります)

2、沸騰したら火傷に注意して、残らずポット等に注いで下さい。

3、鉄瓶を殻にしたら、蓋を取り余熱で内側を乾かします。15~20分で乾きます。空焚きは禁物です。

4、内側が乾いたら蓋をして水気の少ないところに置いてください。


お手入れ方法のポイント

鉄瓶の内側は常に乾いた状態にして下さい。

外側が黒色の鉄瓶は温かいうちに余熱で乾く程度のお茶を浸した布で拭くときれいな光沢が出てきます。

蓋裏は手入れを忘れがちで錆びやすいので、乾いた布で拭いて下さい。

ホーローなし急須をご使用になる場合

鉄分が溶け出し、煎茶のタンニンと反応してお茶が黒ずんできますが、人体に影響はありません。なお、急須も鉄瓶同様、温かいうちに水気を切っておかないと錆びの原因になります。ご注意下さい。お手入れ方法も鉄瓶と同じです。

もしも内部にサビが出たら

サビが出てもお湯が金気臭くない場合は、そのままお使い下さい。

金気臭が出たり、サビが気になる場合下記の通りにして下さい。

1、煎茶を2~3回分ガーゼなどで作った巾着に入れ、水を八分目まで入れた鉄瓶に入れ、15分ほど沸騰させて下さい。

2、火傷に注意しながら、鉄瓶のお湯を捨てる。お湯は黒ずんでいます。

3、再び煎茶を入れなおし、上記1~2を3度ほど繰り返します。

以上のことを繰り返すと鉄瓶の状態が改善されます。それでも金気臭が消えない場合や、サビが進行して大きく盛り上がっている場合は、鋳物業者に仕上げ直しを依頼下さい。

長く使用しない場合

1、弱火で空の鉄瓶を2~3分空焚きします。

2、鉄瓶が完全に冷めたら、新聞で包み湿気の少ない場所に保管ください。

3、特に梅雨時などは、たまに開いて上記行程を繰り返し新聞を取り替えると、湿気によるサビを防げます。


使用上の注意

鉄瓶は使い始めると内側が赤茶色や黄白色になる場合がありますが、そのまま使用を続けて結構です。

鉄瓶内側にはサビ防止のため酸化被膜等が施されています。スポンジ等で洗ったり、こすったりすると、被膜等が傷つきます。特に中性洗剤・クレンザーたわしは絶対禁物です。

長年使用していると、鉄瓶の口に白いものが付着してお湯が出にくくなりますが、取り除いて頂いて結構です。

水を入れた状態で放置するとサビがでます。お湯を沸かしたらすぐに鉄瓶を空にして乾かすのが長持ちさせる秘訣です。

鉄瓶は長年にわたりご使用いただけます。ガスコンロでご使用の場合は炭火と比べ火力が強いため、やや弱火で使用するとさらに長持ちします。